「ニトベジュウジロウの物語を書きたい。」と脚本を担当した遠田さんに言われた時、「ん?ジュウジロウって誰?何した人」と正直言って知りませんでした。ニトベと言えば伝!もしくは、五千円札で有名になった稲造の名前が浮かんだのですが・・・。それも小学校の時、遠足で記念館を訪れて説明を受けたはずなのですが、覚えているのは”伝さんは稲生川を作った人。稲造さんは「武士道」を書いた人。”くらいの知識しかありませんでした。そこで、まず新渡戸家の人について勉強することから始めました。しかし、伝や稲造についての資料は数多くあるのですが、47才という短命で亡くなった十次郎についてはあまり残されていなかったのです。それでも、その数少ない資料をもとに、記念館館長・新渡戸明氏のご協力を頂きながら人物像を引き出していきました。伝の息子であり、稲造の父でありながら、あまり知られていない十次郎とは、そこに住む人の気持ちを大切に街づくりを進めた行動力溢れるとても魅力的な人物だったのです。今年はちょうど、市制50周年ということもあり”街を作った人・十次郎”は、まさにピッタリの題材でした。その功績に改めて敬意を表しながら、経験豊かなスタッフと出演者全員が力を合わせて、より多くの人に楽しんでいただけるように様々な歌と踊りをふんだんに入れて創作しました。十和田市民の胸に、今日から新たな英雄が宿ることを願っております。~演出に当たり抜粋~