青森県十和田市の“森の神”として知られるブナの巨木「ニドムカムイ」。
十和田湖の外輪山から奥入瀬渓流へと下る山の中腹、ほとんど人の出入りがない深い森の中に、ひっそりとその姿を現します。入口には「熊に注意!」の看板が立ち、ここが日常とは少し違う、森そのものの世界であることを静かに物語っています。
ニドムカムイは、幹周約6.1m、高さ約29m、樹齢およそ400年といわれる世界最大級のブナの巨木。「全国巨樹・巨木林の会」によって、一本木として日本一のブナと認定されたこともある、まさに十和田を代表する一本です。その名は、アイヌ語で「豊かな森の神様」を意味する【ニドムカムイ】に由来し、三本に分かれて立ち上がる幹には神が宿ると伝えられてきました。その言い伝えのおかげで伐採を免れ、今もなお静かに成長を続けています。
奥入瀬渓流に近いこの一帯は、鳥の声と風の音だけが響く神秘的な空間。Googleマップで偶然見つけて訪れる人もいるという、知る人ぞ知る秘境スポットです。巨木巡りやディープな自然散策が好きな方にこそ訪れてほしい、十和田の“森の聖域”のような存在です(山あいの場所のため、訪問の際は必ず安全に配慮してお出かけください)。