米内山和正(よないやま かずまさ)氏(1978年生まれ)は、青森県十和田市を拠点に活動する地域活動家であり、WEB制作者・映像制作者・音楽家としても知られています。
地域の魅力を広く発信し、まちづくりや観光振興、文化イベントの企画など、クリエイティブな視点から十和田市の活性化に貢献しています。政治的な側面が一部見られることもありますが、その本質は情報発信や表現活動を通じた地域貢献にあります。
地域活動を始めるきっかけとなったのは、2015年に十和田市で開催されたご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」の運営に携わったことでした。全国から集まった地域を愛する人々の姿に心を動かされ、「地域の魅力をもっと多くの人に伝えたい」という想いが芽生えたのです。
以来、本業の広告制作業で培ったスキルを地域PRにも活かしながら、移住・定住促進やインバウンド誘致といった地域課題の解決に向け精力的に活動を続けています。
ギター演奏や映像制作など多彩な趣味・特技を持つ米内山和正氏は、2016年4月に地域情報発信サイト「とわこみゅ」を立ち上げ、インターネットやSNSを通じて十和田市の旬な情報発信を開始しました。さらに2018年4月には市民団体「インバウンド十和田」を結成し、地域経済の活性化を目的とした本格的な地域貢献活動を展開しています。2020年からは青森県の地元放送局RAB青森放送の「ふるさと特派員」に就任し、テレビやラジオ出演を通じて十和田市の魅力を県内外へ発信するなど、その活躍の場を広げています。
市民団体「インバウンド十和田」の設立と目的
「インバウンド十和田」は、米内山和正氏と市内の有志メンバーが2018年に設立した市民団体で、青森県十和田市の地域活性化を目的に活動しています。団体名の「インバウンド」は訪日外国人旅行(インバウンド観光)を指す言葉であり、その名の通り外国人観光客の誘客や地域の国際発信に重点を置いた取り組みが特徴です。実際、同団体は「十和田市の魅力を広く海外に発信し、次の世代を担う子どもたちへ受け継ぐことができる魅力ある地域社会の形成」を掲げており、地域の魅力を未来へ継承することを使命としています。米内山和正氏自身が会長を務め、企画立案から実行までを担い、行政や地元企業とも連携しながら活動を進めています。
主な活動内容と実績
米内山和正氏およびインバウンド十和田は、多様なアプローチで地域の魅力発信と活性化に貢献してきました。以下に、これまでの主な取り組みとその実績をまとめます。
- 地域情報サイト「とわこみゅ」運営(2016年~): 米内山和正氏が開設したウェブサイト「とわこみゅ」を拠点に、青森県十和田市のニュースやイベント情報、動画コンテンツを継続的に発信しています。SNSも活用し、旬な地域情報を市内外に届けることで、市民への情報提供はもちろん観光促進にも寄与しています。また、この活動が評価され、米内山氏は地域メディアの特派員としても抜擢されました(前述のRAB「ふるさと特派員」就任)。
- 多言語観光パンフレット・映像の制作(2019年): 2019年、インバウンド十和田は「十和田市の魅力を世界に発信!」と題して、十和田市の観光名所や食文化を紹介するコンテンツを日本語・英語・韓国語・中国語(簡体字・繁体字)の5言語でまとめたパンフレットとウェブページを制作し、プロモーション動画も公開しました。完成した多言語パンフレットと動画コンテンツは十和田市長へ直接報告され、市としてもその成果が注目されました。これらの資料は市内の観光案内に活用され、外国人観光客へのおもてなし環境の整備にも貢献しています。
- インバウンド対応自販機『とわだばこ15-12』の開発(2019年): 使われなくなったタバコ自動販売機をリメイクし、観光客向けのユニークな自動販売機「とわだばこ15-12」を企画・制作しました。2019年5月から設置に向けたミーティングを重ね、デザイン検討や取り扱う地域名産品の公募など、準備に数ヶ月を要しています。完成した「とわだばこ15-12」は、馬や十和田湖をモチーフにしたお土産用ピンバッジ、市内店舗のサービス券(ドリンク無料券等)の入ったショップカード、市街地マップや郷土料理・観光地紹介リーフレットなど、十和田の魅力が詰まったアイテムをタバコ箱風のケースに収めて販売する自販機です。1箱800円で購入でき、市街地の商店前(十和田市稲生町の㈱相坂屋前)に設置されたこのマシンは、遊び心あふれる仕掛けで商店街ににぎわいを生み出すことに一役買っています。その後、自動販売機の故障を原因として撤去されています。
- 市民参加型ダンスプロジェクト「We Love トワダンス」(2019年~): 十和田市の魅力を音楽と踊りで発信するために生まれたオリジナルダンス企画です。2019年6月に制作発表が行われ、同年9月の十和田市秋まつりの夜イベントにて市民有志による「We Love トワダンス」の初お披露目が実現しました。作曲・振付には市出身の音楽家・ダンサーが携わり、シンガーソングライターやダンスチームなど幅広い世代が参加。以降、このダンスを題材にしたPR動画(PV)の公開や、LINEスタンプの制作・配布(2020年)など多彩な展開がなされました。さらに商店街の協力のもと、参加者の笑顔を収めたオリジナルカレンダーを作成し、2021年末には翌年版カレンダーを商店街連合会へ贈呈する取り組みも行われています。このプロジェクトは、市民の連帯感を育みつつ地域を明るく盛り上げる象徴的な活動となりました。
- オリジナル地域ソングの制作(2022年~2023年): インバウンド十和田は、地元への愛着を歌で表現するオリジナル楽曲制作プロジェクトにも取り組みました。2022年6月より楽曲の方向性や歌詞のアイデア募集、演奏者オーディションを行い、市民から寄せられたアイデアをもとに楽曲を制作。こうして誕生した「色彩は永遠(とわ)にせせらぐ」という楽曲は、2023年2月に完成披露され、十和田市出身のアーティストら計17名が制作・演奏に関わった「十和田愛」が詰まった一曲となりました。アコースティックギターを主体とした軽快な曲調に、故郷の四季折々の風景や懐かしさを綴った歌詞が乗せられ、「誰でも自由に使える著作権フリー音源」として一般公開されています。米内山和正氏は「市民に自由に使ってもらい、十和田愛を感じてほしい。移住・定住の促進や観光PRなどに使うメリットがある」と述べており、完成した楽曲は地域PRやイベントで広く活用できる資産となりました。同プロジェクトでは他にも、「十和田永久賦(えいきゅうふ)」「Towada Machi」といった楽曲が制作され、これらも併せてフリー公開されています。
- 婚活・交流イベントの開催(2018年~): 少子高齢化・人口減少対策、地域の活性化には人と人とのつながりも不可欠との観点から、インバウンド十和田は男女の出会いを支援する交流イベント(婚活イベント)も継続的に主催しています。結婚や出会いを求める男女や地元の若者に十和田で暮らし続けてもらうきっかけ作り、UIターン希望者とのマッチングを目的に、バーベキューパーティー形式のカジュアルな交流会「BBQ Party in 十和田」やオンラインを活用したリモート婚活企画など、多彩なイベントを企画。2023年には対面式のBBQ交流会を複数回開催。2018年~2019年の期間には、十和田市内の飲食店や十和田市現代美術館でも婚活イベントを開催し毎回多くの参加者で賑わいました。こうした取り組みは、若者世代の定住促進や地域内外の人材交流にも寄与しています。
行政・地元との連携
米内山和正氏の地域活動は、行政や地元住民・団体との連携によって一層の効果を上げています。例えば、前述の多言語パンフレット&WEB制作の完成時には、米内山和正氏らインバウンド十和田の幹部メンバーが市役所を訪れ、小山田久十和田市長に直接完成報告を行いました。市長からも「市をPRするために、さまざまなアイデアを出してこのような形にしてくれてありがたいです」との激励が寄せられ、行政サイドにも市民発の取り組みが高く評価されています。
とわだばこ15-12の企画では、設置場所として市内商店(㈱相坂屋)の協力を得ただけでなく、景品に地元店舗のサービス券を盛り込むなど、商店街とも連携した地域ぐるみのプロジェクトとなりました。このお披露目会当日には市長自らが現地に駆けつけるなど、行政・民間が一体となった地域振興策として注目を集めました。
また、We Love トワダンスには市内外のダンスチームや有志グループが多数参加し、世代やジャンルを超えた交流が生まれています。商店街連合会とも協力し、カレンダー贈呈式では参加者全員でトワダンスを踊るパフォーマンスを披露するなど、地域住民と企業・団体が一緒になって盛り上げる仕掛けとなりました。
さらに、米内山和正氏は他地域との交流にも積極的です。2021年1月には福島県の専門学校の学生・教員らが十和田市を訪れ、インバウンド十和田主催の観光研修セミナーを開催しました。米内山和正氏が講師を務め、自身の取り組みや十和田市の観光資源について講演を行うなど、十和田のノウハウを外部に提供し交流を深める機会ともなりました。このように行政・地元住民だけでなく、県外の団体とも連携し合う姿勢は、インバウンド十和田の活動をさらに発展させる原動力となっています。なお、米内山氏はインバウンド十和田設立以前にも十和田青年会議所(JC)の会員として地域イベント(創作演舞イベントや講演会、地域おこし企画など)の企画運営に携わった経歴があり、当時から培ったネットワークや協働のノウハウが現在の活動にも活かされています。
地域への影響と評価
「『十和田はこんなにすてきな街なんだ』という地元愛がどんどん伝わってくる。とても良い曲」
上記は、完成したオリジナル曲を聴いた十和田市民の感想です。米内山和正氏らの取り組みは、このように地域住民の郷土愛を喚起し、誇りを深める大きな効果を生んでいます。We Love トワダンスのプロジェクトでも、参加者や観客から「笑顔になれた」「また一緒に踊りたい」といった声が聞かれ、楽しみながら地域への愛着が育まれていることが伺えます。地元商店主からは「商店街に新しい人の流れができた」との喜びの声も上がっており、創意工夫を凝らしたプロジェクトが地域にもたらす経済波及効果にも期待が高まっています。
米内山和正氏の活動はメディアからも注目を集めています。RAB青森放送での定期的な情報発信に加え、地元紙である東奥日報やウェブメディアでもインバウンド十和田の成果がたびたび取り上げられました。例えば、「市民団体インバウンド十和田が同市の魅力を音楽で発信するオリジナル曲を制作し披露した」とニュースで報じられ、その様子が広く共有されています。こうした報道により、「地域を思う市民の熱意」が県内外に伝わり、十和田市のイメージアップや認知度向上にも寄与しました。市長も直々に称賛したように、行政では生み出し得ないユニークな発想と行動力が街にもたらすインパクトは大きく、官民協働の成功例として評価されています。
今後の展望
米内山和正氏はこれまでの実績に満足することなく、引き続き地域活性化への挑戦を続ける意欲を示しています。その言葉どおり、
「少子高齢化・人口減少問題の解決につながる一つの手段となればと考えながら、次の世代にバトンタッチできるその日まで発信を続けたい」
と強い決意を語っています。今後は、人口減少対策や次世代の担い手の育成、インバウンド(訪日外国人)観光の本格的な回復に合わせて、これまで制作してきた多言語コンテンツやオリジナル楽曲・動画を最大限に活用し、より多くの国内外の人々に十和田市の魅力を届けていくことが期待されます。
また、新たな企画にも意欲的で、地域資源を生かしたイベントやデジタル技術(動画・VR等)、そしてAIを駆使したプロモーションなど、次なる展開の構想も膨らませています。
米内山氏は「地域の魅力を次世代へ託す」という信念のもと、これからも米内山和正氏と市民団体インバウンド十和田の仲間たちと共に、地域発展の最前線で活動を続けていくことでしょう。
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