十和田湖(とわだこ)は、神秘の湖と言われ、青森県と秋田県にまたがる湖で、約2,000年前の火山活動で出来た、すり鉢状のくぼ地に水がたまった典型的な二重式カルデラ湖です。
日本の湖沼としては、最大水深は326.8mで第3位、面積では12番目の大きさを誇ります。
新緑は5月~6月、紅葉は10月上旬に色づき始め、10月中旬~下旬頃が見頃です。冬の十和田湖も幻想的で、四季それぞれの景観美を楽しめる観光地です。
十和田湖は火山活動により形成された典型的な二重カルデラ湖で、御鼻部山(1,011m)、十和田山(1,054m)、赤岩山(786m)、現頭倉(885m)、岩岳(880m)など600~1,000mの外輪山に囲まれています。
十和田火山の始まりは20~15万年前で、はじめは比較的やわらかく流れやすい溶岩や火山灰を噴出していましたが、次第に激しい活動へ変わり、中でも4万年前~1万3千年前頃に起きた2〜3回の巨大噴火は火砕流が周囲の山々を中腹まで埋め、八戸、津軽南部など広く分布しました。度重なる膨大な火砕流を放出したため、十和田火山体の陥没が進み、ほぼ四角形の水を蓄えた十和田湖の原型ができました。
1万2千~1万1千年前、十和田湖南半分で火山活動が再開されて新しい火山が誕生します。8千5百年前頃(縄文時代早期)には火山体の中腹以上を吹き飛ばしてしまうような大噴火が起き、残された中山、御倉両半島を囲むように深いくぼ地ができ、最深部327mの「中湖」が誕生します。
2千年前頃(弥生時代中期)と915年(平安時代)の2回、御倉半島で大規模な噴火が起こり、東方地域を中心に軽石や火山灰を降らせます。特に915年の噴火では火砕流が発生し、秋田県の米代川流域に大規模な土石流をもたらし多くの住居を埋没させます。(北秋田市の胡桃館遺跡など。)この噴火直後に火口からせりあがった溶岩ドームがドーム状の御倉山を生成し、現在の十和田湖の姿となりました。
敢湖台(かんこだい)は、十和田湖の最も深い中湖に面した標高583メートルの断崖絶壁に位置する展望台です。右手には御倉半島、左手には中山半島がせり出し、眼下には遊覧船が行き交う美しい中湖の景色が広がります。四季折々の自然の変化や夕景も楽しめる絶好の景観スポットで、休屋から約4km、下宇樽部から約3.5kmの場所にあり、駐車場も完備されています。冬期は通行止めになることがあるため、訪問前の確認がおすすめです。
御鼻部山展望台は、十和田湖を車道から望む外輪山の最高点(標高1,011m)に位置し、湖面を囲む御倉半島と中山半島を正面に望む絶好の展望スポットです。広大な十和田湖の全景が広がり、天気が良ければ遠く岩手山や八幡平の山並みも見渡せます。アクセスは急な七曲りの道があり注意が必要ですが、無料駐車場とトイレが整備されており、十和田湖三大展望台の一つとして人気があります。
紫明亭展望台は、東北自動車道・小坂ICから県道2号(樹海ライン)を十和田湖方面へ進む途中、国道103号との合流手前に位置する標高約630メートルの展望スポットです。正面には十和田カルデラの御鼻部山が望め、その背後には南八甲田の山々が広がります。中山半島と御倉半島が重なり合い、十和田湖がハート型に見えることからパワースポットとしても人気です。かつて「日本八景」に選ばれ、十和田湖が第1位となったことを記念する碑も設置されています。春の新緑や秋の紅葉など、四季折々の美しい景色を楽しめる名所です。
十和田湖の南岸に位置する休屋は、観光の中心地として多くの人に親しまれるエリアです。青森市や八戸市、弘前市、鹿角方面へのバスの発着点となっており、アクセスも非常に便利です。湖畔で最も賑わう場所で、お土産店や食堂、ホテル、民宿が立ち並びます。遊歩道や「乙女の像」などの観光名所もあり、自然散策や観光に最適です。地元食材を使った料理も楽しめ、四季折々の美しい景色や冬のイベントも人気の、十和田湖観光に欠かせないスポットです。
十和田湖のほとりにある「乙女の像」は、彫刻家・高村光太郎の代表作で、1953年に十和田湖国立公園指定15周年を記念して制作された高さ約2.1メートルのブロンズ像です。湖畔沿いの遊歩道を進むとまず目に入るこの像は、背中合わせに立つ二人の裸婦が印象的で、湖の風景と美しく調和しています。モデルは光太郎の妻・智恵子とされ、台座には彼女の故郷・福島の黒御影石が使われています。像の近くには高村光太郎の詩が刻まれた石碑もあり、十和田湖のシンボルとして多くの観光客に親しまれています。特に紅葉や冬の雪景色の中での風景が美しく、自然と芸術が融合した名所です。
十和田湖の東湖畔には、自然、芸術、そして信仰が融合した見どころが点在しています。
十和田神社は、かつて修験者の修行の場として栄えた神聖な場所です。日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀り、荘厳な杉並木や苔むした石段に囲まれた神社は、今もなお清らかな神聖な空気に包まれています。
平安時代から中世にかけて地域の守護神として祀られ、農業や漁業の守護、地域の安寧を願う場として地元豪族の保護も受けながら伝統を受け継いできました。
また、十和田神社はパワースポットとして知られ、自然のエネルギーを感じられる場所です。心身の癒やしや運気向上、厄除けのご利益があるとされ、多くの参拝者に親しまれています。歴史と自然が調和する神社で、心を整えたい人におすすめの場所です。
秋田県鹿角市柴内(または草木とも)に、よく働く若者「八之太郎」が暮らしていました。彼は、大蛇の血を受けて生まれたと伝えられています。
ある日、山仕事の帰りにイワナを釣って食べた八之太郎は、ひどい渇きに襲われます。谷の水を両手でせき止め、夢中で飲み続けるうちにようやく喉の渇きが癒えました。ふと周囲を見渡すと、彼が手でせき止めた谷は湖のように水をたたえ、まるで海のように広がっていたのです。そしてその瞬間、八之太郎の体は巨大な大蛇へと姿を変え、湖の主となったといわれています。
一方、熊野権現で「鉄のわらじを履き、鼻緒が切れた場所を永住の地とせよ」とのお告げを受け、各地を巡っていた僧・南祖坊(なんそのぼう)は、十和田湖の地でわらじの緒が切れます。この地を終の住処と定めた南祖坊は、湖の主になろうとしますが、すでに八之太郎がその座にありました。
両者は7日7夜にわたり、秘術を尽くして激しい戦いを繰り広げます。最終的に南祖坊が勝利し、新たな湖の守り神となったと伝えられています。
この伝説は、平安時代の915年に起きた十和田火山の噴火の激しさを、後世に語り継ぐために生まれたとも考えられています。なお、青森県側では八之太郎のことを「八郎太郎」と呼んでいます。
この伝説と深く結びついているのが、青森県十和田市の「十和田神社」です。
この神社は、湖の主となった南祖坊を祭神として祀っており、十和田湖信仰の中心的存在です。南祖坊はのちに「青龍権現」として神格化され、十和田神社はその信仰を今に伝える霊場となっています。
かつてこの地は「十和田山青龍権現」とも称され、修験道の拠点として栄え、多くの修行者や参拝者を集めてきました。伝説は、神社の霊験や湖の神秘性を裏付ける物語として語り継がれ、現在でも湖畔の神聖な雰囲気を形づくる大切な要素となっています。
十和田湖に浮かぶ小さな2つの島で、「恵比寿島」と「大黒島」から成ります。観光拠点・休屋の近くにあり、それぞれ恵比寿様と大黒様が祀られ、商売繁盛や福徳の神として信仰されています。
島は十和田火山の噴火でできた溶岩(玄武岩質安山岩)から成り、キタゴヨウやツツジが自生。秋には紅葉が湖面に映える美しい風景が広がります。
「果報島」とも呼ばれ、岸から賽銭を投げて島に届けば願いが叶うという伝承が残っています。現在でも湖底には多くの古銭が沈んでおり、神秘的な雰囲気が漂います。
十和田湖遊覧船は、青森県の十和田湖で運航される観光船で、湖上から美しい自然を楽しめます。運航は4月下旬から11月中旬まで。コースは2種類あり、休屋から子ノ口まで移動する片道のAコース(約50分)と、休屋を出発・帰着する周遊のBコース(約50分)があります。乗船場所は休屋と子ノ口の2ヶ所。大人料金は1,650円、小人は880円。紅葉や新緑の季節が特に人気で、天候によっては運休となるため、事前の確認が推奨されます。
休屋の南側には「神田川」という小さな川が流れ、ここが青森県と秋田県の県境になっており、河口付近には「両国橋」という橋が架かっています。
ここの地名は、昔ここが十和田神社で修行していた修験者たちの「籠り屋」であり、参詣に来た人々の休んだ場所であったところという意味からきており、明治時代になってから「休屋」と言われるようになったそうです。
十和田湖畔(秋田県鹿角郡小坂町十和田湖休平)にある人気のカフェ。
湖に面したログハウス風の建物で、テラス席からは雄大な十和田湖の景色を一望できます。特に「焼きたてアップルパイ」が名物で、青森県産のりんご「ふじ」をたっぷり使った手作りのアップルパイが人気です。
コーヒーや紅茶などのドリンクのほか、りんごを使ったカレーなども提供されています。
冬期は休業し、春から秋にかけて営業しています。