きみがらスリッパ | 青森県十和田市の伝統工芸品

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きみがらスリッパとは

きみがらスリッパは、デントコーンの皮を主な材料として製作される伝統工芸品です。

きみがら」とは青森の方言でトウモロコシの皮のことを言います。特徴として、1足20gという軽量さとデントコーンの皮ならではの保湿性・通気性の良さが挙げられ、これらの特徴は季節を問わず心地よく履き続けられる機能性に繋がっています。

きみがらスリッパ 作業風景

原材料 デントコーン

デントコーンは、トウモロコシの一品種で、一般的に食される甘味のあるスイートコーンと違い、大型の粒(果実)で、配合飼料コーンスターチの原料に利用されます。デントコーンの幹は、2mを超える大型のもので、5月中旬ごろ種まきが行われ、10月中旬ごろに果実の収穫が行われます。

収穫されたデントコーン
収穫されたデントコーン
デントコーン
デントコーン

きみがらスリッパの歴史

きみがらスリッパが製作された背景には、十和田市における馬産地としての歴史と、三本木婦人会らによる廃棄物利活用への取り組みがあります。

当時の三本木(昔の十和田市)という地域は、周辺の川が低地を流れていたために、川よりも高い土地では水を十分に確保することができず、田畑は川沿いの低地あるいは湧き水を頼りにごく小規模で開かれていました。

三本木の地は、後に新渡戸傳らの手によって開拓が進められますが、厳しい土地条件で田畑作を営んでいた農民達は、郡馬補充部の設置によって馬が高値で売買されるようになったことで馬を飼養し売却することで生計することへ営農スタイルを変化させていきました。

デントコーンは、不要な脂肪をつけにくいという特徴を持つ粗飼料で軍馬産業が確立していくにつれ、馬の飼育頭数とデントコーンの生産量は増加していきました。馬の粗飼料として与えていたデントコーンは果実のみを利用しており、皮の部分は捨てられ大量の残渣物として処理していました。

1947年、デントコーンの皮、「きみがら」に注目したのが、青森県庁に勤務していた十和田市出身・三本木農業高等学校出身の若木技師でした。

若木技師は、三本木婦人会へ「きみがら」を使って何か活用できないかと呼びかけました。

青森県三本木婦人会主催で、山形県のガマの葉を編み込んで作った「ガマスリッパ」作りの講師を招き、作り方の講習会を開きました。

製作方法を学び、ガマの葉の代わりに「きみがら」を使ってスリッパにしたのが「きみがらスリッパ」のはじまりとされています。

当時、八郷婦人会の会長だった白濱トキさんが講習を受け、その後、「きみがらスリッパ」の製作に熱心に取り組んでいただき、農作業が無い冬の農閉期には、白濱さん宅に集まった24名の皆さんは、どのように作ったら商品として認めてもらえるか日夜研究に励みました。現在の形になるまで10年の月日を要しました。

それまでの間、白濱トキさんは参加された24名をいつも励まし、三本木婦人会や母子会や間に立って、販売に努力してくださりました。

1963年に「十和田きみがらスリッパ生産組合」が設立され、きみがらスリッパは1998年3月に青森県指定伝統工芸品に指定され、生産組合の活動によって現在まで受け継がれています。

きみがらスリッパ
編み込み作業風景
きみがらスリッパ
編み込み作業風景

きみがらスリッパのお買い求め先

道の駅とわだ

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