十和田かるた 1977
千歳森の狐
広々とした三本木原野には、狐しかすまなかったと伝えられている。その中で最も勢力のあった「千歳森のおせん」は、他の親玉格の狐達と共に、時には三本木平を大海原に変え、時には大名行列に化けて、通りかかる商人達に足止めをくわせたという。度重なる”いたずら”にたまりかねた商人達は新渡戸氏に相談して、社を建て正一位を贈って千歳森稲荷を祀った。
伝翁が稲生川を造る時、どこを通せばよいか思案にくれ、千歳森稲荷に願をかけたところ「おせん」が現われて雪の上に足跡を残して遠くへ立ち去ったという。翁がその足跡をたどって行くと鞍出山についた。翁はこの山に隧道を通さねばならないことを知った。この穴堰工事は困難を極めたが、ここを完通したことによって、その後の工事に明るい見通しがついた。三本木原開拓の源となった上水は 「おせん」の残した足跡によるものだといわれている。
掲載内容は、昭和52年(1977年)当時の内容です。
現在の状況と異なる場合があります。
当時の情景がわかる歴史的資料としてご参考ください。